筋肉だけでなく、人間の基礎動作パターンをトレーニングします。正しい動きはどのように見え、どのように動くのかを習得します。 【基礎動作パターン】 ・スクワット ・ヒップヒンジ ・ランジ ・キャリー ・プッシュ ・プル ・ローテーション ・アンチローテーションなど 人間の動きはかなり複雑で、複数のパターンが同時に起こっています。これらをトレーニングすることで、スムーズでパワフルな動きを習得するだけでなく、筋肉のほか靭帯、腱、筋膜へもアプローチします。これらは全てのトレーニングの基礎ともなります。

機能的な動作には、筋や筋膜の繋がり、力を効率よく伝えるための運動連鎖（キネティックチェーン）が係しています。 ある動作を行う際、活動しているのは主動筋と呼ばれるメインの筋だけでなく複数の筋群が補助的に働いています。これはフォースカップルとも言われ、一つの関節運動にしても多数の筋が協調的に機能することで目的の動作を果たしています。さらに大きな動作で考えると、筋のサブシステムという運動連鎖も存在します。これは様々な動作に対して背骨や骨盤を安定させ、パフォーマンスを高めるための筋群の連鎖を表すものです。そもそも筋は単独で存在しているわけではなく筋膜によって繋がっているとされています。その中でも特に繋がりの強い筋同士が連鎖を起こして機能していると考えられます。 筋のサブシステムはいくつかのパターンに分かれます。 ①AOS(Anterior Oblique Subsystem)前方斜めサブシステム｜内腹斜筋の機能的な役割、内腹斜筋は同側方向への側屈と回旋に作用するため、回旋動作が伴うスポーツ競技においては非常に重要な役割を担っています。 ②POS(Posterior Oblique Subsystem)後方斜めサブシステム｜広背筋、胸腰筋膜、大臀筋による筋の連鎖。背骨や仙腸関節の安定に寄与し、さらに対角上の広背筋と大臀筋連結により回旋動作の安定性やパワー発揮にも関係します。 ③DLS(Deep Longitudinal Subsystem)深部縦サブシステム｜脊柱起立筋群、胸腰筋膜、仙結節靭帯、大腿二頭筋、腓骨筋長頭による筋の連鎖。ジャンプや走行時の着地など垂直方向にかかる負荷に対して仙腸関節の安定性を高めます。 ④LS(Lateral Subsystem)側方サブシステム｜中殿筋、大腿筋膜張筋、内転筋群、腰方形筋による筋の連鎖。歩行時や片脚立ちの際に股関節、骨盤を安定させ、身体の左右バランスを調整します。 このように身体には複数の筋の強い連結があり、その繋がりを意識したトレーニングを行うことで運動連鎖に基づいた動作獲得、安定性の向上が期待できます。

神経系と筋肉は互いに欠かせない存在。筋肉を動かすのは神経であり、筋肉が単体で動いているわけではありません。筋肉への指令がうまくいかない状態とは？前できていたことがスムーズにできなくなったり、無意識でできていたことが意識しないとできなくなったりがそれです。簡単に言うと、脳からの指令、反射により筋肉は動く、この神経系をトレーニングしていきます。ファンクショナルトレーニングは、脳からの指令に反応する速さ、反応能力を向上させるアプローチが可能なのです。

漸進性過負荷とは、身体に対してそれまでよりも、より大きなストレスを提供すること。より良いとレーニング効果を得るためには強度の変化が必要不可欠です。またそれは適正でなければケガなどのリスクを高めます。これをオーバーロードの原則といいます。プロのトレーナーによる指導のもと、原理原則にしたがい、個々にあった動き負荷を設定し、それを常に漸進させていくことがトレーニングにおいて、動きや筋肉を向上させていくために最も重要なのです。トレーニングの種類、方法、負荷などに加え、栄養や睡眠なども大切です。現在のトレーニングにおいて効果が出にくい方の多くは、この漸進的過負荷を見直してみるべきかもしれません。